千家伊織と柊京一郎

  楽しかったですね。
  起き抜けに雪玉を打つけられて、楽しいも何もあるか。
  そんなこと言って、貴方も結構本気で投げていたじゃないですか。
  ふん。やられたらやり返すのは当然だ。
  ふふ。でも・・・貴方が投げ返してきてくれて、私、本当に嬉しかったんですよ?
  なんだ、やはり被虐趣味が?
  大人になると、子供の遊びをするのはなかなか勇気が要るものなんです。加えて、もしかしたら取り合ってくれないかも、と、内心少し不安でした。
  ・・・ふぅん。
  でも、貴方は応えてくれた。
  最近運動が不足していたからな。たまには体を動かすのも悪くないと思っただけだ。
  年の離れた兄が居たならば、こんな感じなのかな、とも思いました。
  ・・・・・・。
  ・・・ごめんなさい。余計なことを言いましたね。中に入ってお茶でも淹れましょう。
  ・・・おまえは、
  さ、そんなところに長く居ると風邪を引いてしまいます。
  おまえは確かに家族ではない。
  分かってます。出過ぎたことでした。忘れてください。
  私にとって家族とは、記憶だ。
  伊織、もういいですから・・・。
  記憶は、どんなに手放したくなくとも、時と共に風化してゆく。それは誰にも止められない。
  だったら私は、風化するより早く、よりたくさんの記憶を貴方に刻みます。どんなに忘れたくたって忘れられないように。
  京一郎。
  もし、いつか、貴方が私を失うことがあったとしても、貴方が私を捨てたとしても、決して忘れることができないくらい――
  おまえは私の、今だ。
  ・・・・・・今・・・?
  我々は過去にも未来にも生きることができない。あるのは今だけ、それがすべてだ。
  つまり・・・私は、貴方の・・・
  おまえは余計なことを考えず、ただ共に在ればいい。
  伊織・・・。
  冷えてきたな。茶を淹れるのだろう?
  ・・・はい!とびきり美味しく淹れますね。



    千家伊織氏の生誕を今年も心から祝して。たくさんの幸せが訪れますように。 H29.11.28



  『雪の日、ふたりで』の続きなイメージで。お誕生日ではなかったかもしれませんが汗

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