なんかもう、好き! 


 11月に入った。
 京一郎は指折り数える。
 生徒会の件が落ち着いて、彼が海外の大学への進学をやめてから、すぐに聞いた。本人は全く興味がなさそうだったから、念のため彼の幼なじみの館林にも確認した。
 今月末は、伊織の誕生日。
 当日の予定はあるかと聞いたら、姉が何か言っていたと曖昧な回答。
 時間は、場所は、と問い詰めると、聞いておく、と言ったきり続報がない。
 これでは予定が立てられない。
「伊織先輩!」
 部活の後片付けをして更衣室に入る。先に着替えた先輩たちはもう帰ってしまい、残っているのは京一郎と伊織、それから1年が数名だけ。
「・・・なんだ、騒々しい。」
 京一郎と伊織が特に仲が良いのを知っている部員たちは、二人を置いてさっさと帰っていく。
「28日の予定、はっきりしました?」
「28日・・・。」
 微笑んで同級生たちに手を振り、そして京一郎はじとりとした目を伊織へ向ける。
「・・・まさか、まだ訊いてないなんてこと、ないですよね・・・」
「・・・・・・。いま、訊けばいいのだろう?」
 面倒臭そうに鞄から携帯を取り出すと、伊織はアドレス帳を開いた。なんとなしに京一郎も覗き込む。
「登録、全然ないですね・・・」
「ふ。友人がいないものでな。」
「嘘だ。面倒臭がって登録してないだけでしょう。・・・僕のはありますよね?」
「さて。」
「あー!ちょっと見せてください。」
「こら、暴れるな・・・っ」
 無理矢理奪い取ってみると、表示されたアドレス帳のあかさたなのインデックスはかなり飛び飛び。とりあえず「は」を表示させると、「平岡」とある。が、「柊」はない。かなりショックだ。
「伊織先輩、本当に僕の連絡先登録してないんですか・・・」
「お前のはちゃんと登録してある。」
「だって、は行は平岡って人しかない!」
「・・・平岡?誰だ。」
「知りませんよ!」
「とにかくちゃんと探せ。入っているから。」
「むぅ・・・」
 右向きの矢印ボタンを押す。次に出てくるのはあ行で、女性の下の名前と「親」の二つだけ登録されている。
 伊織も画面を覗き込む。
「ん、さっきの平岡は、岡平の間違いだな。」
「この女の人は?」
 さり気なく聞いてみる。伊織はゆったりと頭の後ろで手を組んで、にやりとしてみせた。
「さて。誰だったか。」
「・・・・・・」
 腹立たしいので無視してか行を表示すると、「開☆Forever」、「家政婦協会」の後に「京一郎」が登録されていた。少しほっとする。しかし・・・。
「・・・念のため聞きますけど、”開☆Forever”って、館林先輩ですか・・・?」
「多分な。」
「多分って、使ってるんでしょう?」
「向こうから来たメールの返信しかしないから、よく分からん。」
「これ登録したの、誰です・・・」
「本人なんじゃないか。携帯を持ち始めた頃だから、中学だったかな。」
「えー・・・」
 ちょっと館林からのメールを見てみたくなった。
「そろそろ電話する。」
 京一郎から携帯を取り上げて表示したのは、先ほどの女性の名前。
「あ、もしかして・・・」
「ご明察。お前の焼き餅の相手は姉、というわけだ。」
 早速コールしながら、またくつくつと笑う。
「焼き餅なんて、焼いてませんんっだ。」
 小さく舌を出してみせたら、掠めるようにキスされた。
「!!」
「――あ、伊織です。」
(伊織先輩の、ばか・・・。)
 京一郎は膝を抱えて伊織を見上げる。
 結婚しているという彼の姉は、少し歳が離れているのだろうか。時折はにかんだように笑うのが、なんだか面白くない。
「・・・分かった。また。」
 伊織が電話を切ってこちらを向くが、京一郎は素直に目を合わせる気にならない。
「聞いたぞ。」
「ふぅん。」
「なんだ、またご機嫌斜めか。」
 覗き込んでくるから、そっぽを向いてやる。
「・・・で。結局どうなったんです?」
「ふふ。どうやら当日は都合がつかなくなったので、別の日程にしたいそうだ。つまり、予定は無くなった。」
「本当ですか!」
 勢い身体を起こすと、危うく顔がぶつかりそうになった。
「お前は、本当に・・・。面白いやつ。」
 伊織は京一郎の頬をつまむと、そのまま唇を寄せた。ちゅ、と音を鳴らす。
「伊織先輩・・・!」
 恥ずかしがる京一郎を満足そうに見つめて、もう一度。
「・・・今なら誰も見ていない。」
 二人きりの更衣室に、軽快なキスの音が響く。
「ん、先輩・・・っ」
 口付けながら京一郎の耳朶を弄ったり髪の毛をちょっと引っ張ったりしていた伊織は、やがてその手を離してじっと黙りこんだ。
「伊織先輩・・・」
――もっと、触れていたい。・・・触れて欲しい。
 口に出してなんて言えないから、京一郎は伊織の道着の袖を握ったまま見つめる。真紅の瞳が熱っぽいのは、きっと彼も同じように思っているから・・・。
「――・・・京一郎、帰るか。」
 しばらく京一郎を見つめ返していた伊織は、結い上げていた髪をほどき、道着を脱ぎ始めた。
 他の皆が帰ってからもう随分経つ。あまり更衣室でうだうだしていると、顧問のミサキに注意されてしまう。
 京一郎も渋々立ち上がった。

 帰り道。まだ手袋をするほどではないけれど、制服だけでは少し肌寒くなってきた。
 人通りの少ない狭い道を歩くときだけ、どちらからともなく指が触れ合ったら、そっと絡める。
「ね、先輩。」
「ん。」
「いま、欲しいもの、あります?」
「特にないな。」
「・・・そっか。」
 予想どおりの答えに、少しがっかりする。そんな京一郎の横顔を眺めて、伊織はくすりと笑った。
「いや、そうだな。ないことも無い。」
「え、なんです?教えて――?!」
 飛びつく京一郎の唇を、伊織の人差し指がふさぐ。
「これ。」
「・・・ぇ?」
「お前から欲しい。」
・・・キスを。聞こえないくらいの掠れた声が、耳元で囁く。
「え?!む、」
 口を大きく開けた拍子に、唇に触れていた指が口の中に入る。
「むい・・・!」
「何故?前はあれほど積極的に口付けてきたというのに。」
「あえは!・・・っ」
 喋るのを邪魔する指を追い出した。
「あのときは!伊織先輩をなんとか護りたくて必死で、・・・だから、あんな、・・・恥ずかしいから無理です・・・っ」
「・・・ふぅん。」
 挑発するように、伊織は横目を流す。
 この目に弱い。どきどきして逸らしたくなるけれど、見ていたい。触れてくるのかと期待してしまう。
 京一郎を見つめながら、伊織は濡れた人差し指を舐めた。ゆっくり、舌を絡めるように。
 まだ初心な感情のおかしなところを刺激されて、京一郎はごくりと唾を飲む。
 けれど。目を細めて、伊織は甘い声で囁いた。
「・・・なら、お前がしてくれるまで、私もお前に触れるのをやめる。」
 そして、緩くつないでいた手まで離してしまう。
「あ・・・」
 急に温もりを失った指先に当たる風が、ひやりと冷たい。
「ふふ。不満そうだな。だが、お前が私の希望を叶えてくれればいいだけの話だ。」
 それから本当に、伊織は手を繋ぐことも、髪に触れることすらも、しなくなった。

 11月後半には、下級生は定期考査、3年生は最後の実力考査が予定されている。今年の伊織の誕生日は試験最終日に当たる。勉強もしなければならないから、時間はどんどんなくなる。
「伊織先輩、今日はちょっと用事があるので、先に帰りますね。」
 放課後、京一郎は伊織の教室に顔だけ出して断りを入れた。伊織はこちらを向いたが、返事はなかった。
 誕生日当日の試験は午前中で終わるけれど、それからでは贈り物の用意が間に合わない。だから、試験期間が始まる前に探しに行くしかないのだ。
(でも、なんだか伊織先輩の機嫌が日に日に悪くなっている気がする・・・)
 それもそのはず。京一郎は希望を叶えていないのだから。
 あのとき、誕生日プレゼントは何がいいかというつもりで聞いたはずだったのに、なぜか拗れてしまった。
(だって、・・・やっぱり無理・・・。)
 彼ばかりにリードを頼るのは不甲斐ないと思っているけれど、いざ落ち着いて付き合うとなると、どうしても照れが先立って、触れるのにも勇気が要る。
 それでもスキンシップがないのは寂しいので、あれから一緒にいるときは自分から手を繋ぐようにした。我ながらかなりの進歩だ。
 しかし、やはり伊織は物足りないらしい。・・・京一郎だって、本当は同じだ。
 そっと見つめるとか、手を繋ぐとか、ちょっとキスするとか、そういうのを一足に飛ばして、もっとどうにかしたい。なりたい。思いのままに抱き合ったりとか、それ以上とか、・・・。
(・・・それ以上って、・・・なんだ・・・?)
 男女の場合は、なんとなく想像がつく。地元の山の中やちょっと大きな道路沿いなどに建っていた、胡散臭い洋風の城みたいなところへ行ったり行かなかったりするのだろう。同級生が行ったらしい、などという噂を聞いたこともある。しかし模範生として望ましく年相応に、品行方正に生きてきた京一郎は、そういうものに対して漠然とした嫌悪感があった。不衛生な場所に恋人を連れて行くなんて、とか、まだ親に守られる立場で何かあっても何もできない人間が無責任だ、とか。
 だがそれなら、相手が伊織の場合はどうなるのだろう。
 "何か"は起きようがない。彼が実は女性だった、なんてことがない限り。
 また、自分たちの場合実際なにをどうするのかというのも、あまりにも未知の世界で分からない。もとよりそっちの気があるらしい乙若にでも聞いてみるしかない。
(それでも、伊織先輩とならきっと・・・)
「・・・って。・・・何を考えているんだ・・・」
 欲求不満にもほどがある。試験勉強に煮詰まっているせいか、伊織と会っていないせいか。
 百貨店に着いた京一郎は、桃色の思考を振り切るように、足早に男性用小物売り場へ向かった。

 試験が始まった。前回は試験直前に伊織がいろいろと教えてくれたから、かなり余裕をもって準備できたのだが、あれからほとんど会っておらず、今回は先輩の力を頼りにはできなかった。
(自力でも成績を落とさないように頑張らないと・・・!)
 試験が終わるまでの辛抱。そう思って、京一郎は試験期間中、伊織の教室を覗きにも行かなかった。

 試験最終日、すなわち伊織の誕生日。
 試験中、早く会いたいという気持ちが急に湧き上がって、解答を見直しながら何度もぼんやりしてしまった。気合を入れて挑んだ割に、出来はさして良くなかったと思う。
 そしてすべての試験終了後。すぐに帰れるのかと思っていたのに、なぜか長めのホームルームが予定されていた。次回に1時間割り当てられているホームルームで何をするかを相談するのだという。
 乙若が手を挙げて、昼休みとつなげて映画を見たい、などと言っている。
 正直、心底どうでもいい。
 窓の外を眺めると、すでに上級生たちが帰宅し始めている。
(伊織先輩、帰らないでいてくれ・・・!)
 今日、試験が終わったら一緒に、と約束はしていたものの、ここ数日会っていない。もとより携帯が好きでない伊織はメールをあまり使わないので、文字ですらも会話していない。だから、忘れられているのではないかと不安になる。
 イライラしながら遣り過ごしたホームルームが終わるや否や、掃除を乙若に替わってもらい、 京一郎は走って3年の教室へ向かった。

 1階の、廊下を挟んで中庭に面した教室。すでにほとんどの生徒は帰ってしまったらしく、廊下は静かだ。
 いつもなら大抵引き戸が開いていて誰かしら出入りしているから、それに紛れて顔を出すのには慣れたが、こう、しんとしていると、緊張する。
 そっと、戸を開けた。
「・・・あれ・・・」
 誰もいない。どきりとする。やはり、帰ってしまったのだろうか。嫌な感じに高鳴る胸を抑えながら、もう一度、教室を見回す。なにやら見慣れない。黒板に目を向けると、日直欄に「館林」と書いてある。
「あ、間違えた・・・。」
 緊張しすぎて、隣の教室を開けてしまった。どおりで少し雰囲気が違うと感じたわけだ。
 気を取り直し、改めて教室の番号をよく確認して、伊織のクラスの戸を開ける。
・・・いた。
 一番後ろの列の少し左寄りの席。
 他の先輩たちは皆帰ったようで、電気の消えた教室に伊織一人だけ、戸口と反対側を向いて机に突っ伏している。
「伊織先輩・・・」
 呼びかけると、腕が微かに動いた。しかし、こちらを見ようとはしない。
「伊織先輩、京一郎です。・・・あの、一緒に帰りませんか?」
 恐る恐る、背中から声をかける。
 が、返事はない。
「ねぇ、先輩・・・」
 机の反対側に回って顔を覗き込む。前髪の奥から紅い目がじとりと睨んでくる。
 完全に臍を曲げているようだ。
「伊織先輩、帰りましょう?」
 京一郎は、伊織の腕を掴んで立たせようと引っ張る。
 すると、それまで机の上に伸びきっていた伊織が今度は急に立ち上がった。
「わっ!」
 そして、京一郎に向かってずんずん進む。
「わっ、わっ、ちょっ、伊織先っ、輩・・・っ!」
 後退りした京一郎は、ついに教室の後ろの壁まで追い遣られた。
 壁と身体で京一郎を囲んだ伊織は、覆いかぶさるようにして京一郎を捕らえる。長い髪の毛が檻のように京一郎の視界を塞ぐ。
「・・・腹が立つ。」
 燃えるような瞳が低く呟いた。
「・・・・・・え?」
「お前が、・・・いつまでも強情だからだ。」
「先輩、」
「いい加減にしないと――」
「・・・っ!」
 爆発しそうな感情を抑えきれていない伊織の声が耳元に近づいて、京一郎は思わず首をすくめる。
 舐められるか噛まれるかと構えた――・・・。
 しかし結局、荒っぽく溜め息をついて、伊織は京一郎から身体を離した。
 というより、もとより宣言どおり律儀に触れていないのだ。京一郎が、願いを叶えないから。
「伊織先輩、」
「帰る」
「待ってください!」
 振り向かずに伊織は机の横に掛けた鞄を取る。
「先輩、待って、」
 京一郎はその腕を掴む。しかし振り払って伊織は戸口へ向かう。
「もう!待って、ってば・・・っ!」
 もう一度強く掴んで振り向かせる。
「しつこい!」
 今度は振り払われまいと体重を掛けた。バランスが、崩れる。
「ぅわっ」
 ガタン、と音が。
「・・・っつ!」
 背を扉にぶつけて、伊織が呻く。
「あ、・・・すいません」
「・・・退け。」
 転んだ拍子に伊織の上に馬乗りになってしまった。慌てて除けようとして、・・・京一郎は、やはり退くのをやめた。
「いやです。」
「邪魔だ。重い。」
「伊織先輩。」
 少しむくれた頬に、指先で触れる。
 伊織が背を預ける引き戸には曇りガラスの小さな窓が付いているが、光はちょうど二人の頭上を通り越して、その先の床をぼんやり照らす。
 広い教室。でも、日差し除けの薄いカーテンが引かれたままの薄暗い部屋。二人しかいない空間。
 伊織は頑なに両手を床に着けたまま。拗ねた紅い目が揺れる。引き結んだ唇がほんの僅かに尖っている。
 いつも主導権を握って京一郎を翻弄するばかりの先輩が、滅多に見せない表情。こんな顔、彼の姉だって知らないだろう、多分。
 愛しくてたまらなくなる。
「・・・ごめんね。」
 京一郎はそっと、伊織の長い髪を撫でながら囁く。
「・・・焦らされた。腹が立つ。」
 恨み言を紡ぐ掠れた声。
 可愛らしくてたまらない。
「先輩にあまり会えなかったから、おかしくなりそうだった。」
「ふん。自業自得だな。」
「そうですね。だから・・・」
 伊織のブレザーの襟をそっとつかんで、京一郎は伊織の唇にキスをした。
 そして満面の笑みで、祝福を告げる。
「伊織先輩、お誕生日おめ――」
「ん・・・」
 これで離すなんて許さない、とでも言うかのように、伊織の唇が言葉を遮った。
 柔らかくて滑らかなのに、貪欲でちょっと凶暴な唇。
 ほろりと解けると、熱い息が求めてくる。
「京一郎・・・っ、もっと・・・」
 蕩ける瞳に抗えずに、また口付ける。伊織の服を掴んで引き寄せる。頭を掻き抱かれる。
 激しい抱擁に崩れ落ちる。冷たい床が気持ちいい。
「伊織、先輩・・・っ」
 高まる気持ちを抑えられずに、伊織の首に抱きついたときだった。
 からからと。教卓側の引き戸が開いた。
「誰か残ってるかー?」
 間延びした声とともに男性教員が入ってくる。
 反射的に離れようとした京一郎を、伊織はより強く抱き締めた。
 幸いまだ、教員は床に転がる二人には気付いていないようだ。
 身体を寄せあったまま、息を殺して様子を伺う。
「なんか音がした気がするんだけどなぁ」
 彼はぶつぶつ呟きながら、窓に掛かった薄いカーテンを開け始める。
 伊織の目配せに頷き、京一郎は音がしないようにそっと廊下への引き戸を開く。
 気付かれませんように。
 睦み合っていたのがばれるかもしれない恐怖と、まだ見つかっていないスリルと高揚、そして伊織と二人でいると湧いてくる不思議な勇気が混ざり合って、京一郎の胸は早鐘のように鳴る。
「疲れてんのかな、俺・・・」
 独り言の多い教員はすべてカーテンを開け切ると、ふうう、と長く息を吐いて、しょんぼり振り返った。
(いまだ!)
 床に落ちたカバンを拾って、教室から飛び出る。
「あれっ、おい!」
 驚いた声を背に受けながら、振り返らずに、走る。
 手を繋いで、走る。
 玄関を抜け、校舎裏を突っ切る。
「・・・くくっ」
「はっ・・・ははっ」
 緊張が解けないうちに笑いがこみ上げてきた。走っているから、うまく息ができないけれど。
 図書館前まで来て、深呼吸する。山茶花の香りが肺を冷やす。
「ふっ、・・・ね、伊織っ・・・ふふっ、先輩、」
 繋いだ手は、離さない。
 もうなんだか、照れくさいとか恥ずかしいとか、そういうのは吹っ切れた。
「くっくっ・・・うん?」
 振り向く伊織の頬が薄ら赤くなっている。思い切り笑ってにじんだ涙を指で拭っている。
 かわいい。
 いとしい。
 ふれたい。
 湧き上がる気持ちは、もう止まらない。
「お誕生日おめでとう。なんかもう、好き!」
 京一郎は伊織に抱きついて、もう一度唇を重ねた。

  でもそのうち、また急に恥ずかしくなったりする。多分。
  むむ。もっとゆっくりじっくり書くべきですた(>_<;)あう。

NOVEL